ポジション別リプレイスメントレベル
リプレイスメントレベル(Replacement Level)。直訳すると代替水準。
平均とは違うこの選手評価基準をポジション別に求めます。
選手評価の基準として最も一般的なもので平均やリーグ平均がありますが
なぜリプレイスメントレベルというまた別の基準が必要なのか
まずはこれについて巨人の坂本と村田を例に説明します。
坂本(616打席) wOBA .335 wRAA 4.4
村田(575打席) wOBA .320 wRAA -2.7
このデータを見て
「村田のwRAAはマイナスだから巨人は別の選手を使っていたほうがよかった」
と思った人がいたら、実際の巨人の控え事情は別として指標の見方としては間違いです。
wRAAはあくまでリーグ平均を基準としてプラスかマイナスかを見る指標なのです。
ちなみに2014年のセリーグ平均wOBAは.325
ゆえにリーグ平均以上のwOBAだった坂本のwRAAはプラスに
リーグ平均未満のwOBAだった村田はwRAAがマイナスとなっているのです。
なのでもし村田の代わりに別の選手を同じ打席数使っていたら
-2.7よりももっと大きなマイナスになっていたと予想するのが自然な見方と言えるでしょう。
実はこの「村田の代わりに使われる選手」のような控え選手を
基準にしたのがリプレイスメントレベルです。
個々の選手評価(ここでは打力)はリーグ平均基準で計ることができますが
現実でもそうであるようにその選手が出なかった時に使われる控え選手を基準とし
リプレイスメントレベルとの差を見たほうが個々の選手の価値や貢献度がより分かりやすくなるため
このような考え方が生まれました。
さてリプレイスメントレベルの求め方ですが
レギュラー野手9人を除いた野手をポジション別に合算した打撃成績(wOBA)を
当ブログでのリプレイスメントレベルとしました。レギュラー野手の成績を抜く、
セパ合計にする以外は前回のポジション別wOBAを出した時と同じ計算方法です。
なおセリーグのレギュラー野手は8人ですがセパ共通のリプレイスメントレベルとするため同じ9人で合わせることにしました。
次にこのレギュラー野手の決定方法ですが基本的には各ポジションの最多打席選手をレギュラー扱いとしています。
ただし打席数が少ない選手でもレギュラーだったのに故障離脱した、シーズン後半からレギュラーになった、
途中加入のため打席数が少なかった(グリエル、デスパイネ)という場合があり、そういう選手を
控え選手扱いとしてしまうのもおかしいので、こういう場合は打撃成績も加味したうえでレギュラー野手9人を決定しました。
今回リプレイスメントレベルを求めるにあたり2014年と2013年の
最近2年分の全野手の打撃成績を元に最終的なリプレイスメントレベルとしました。
ポジション別のリプレイスメントレベルを大まかに分類すると
一塁手、左翼手、右翼手、指名打者
これらのポジションは最もリプレイスメントレベルの高いグループとなりました。次いで
三塁手、中堅手
この2ポジションが大体同じくらいです。そしてここからだいぶ下がって
二塁手
遊撃手
捕手
という順になりました。
この結果から同じ打力でも守るポジションによってその選手の価値は大きく変わる
強打のキャッチャー、強打のショートの価値はやはり大きいということが改めて分かります。
ちなみに「途中出場のリプレイスメントレベル」とは一見おかしなものに見えますが
これはスタメン出場時の打席数でポジション分けをしているためポジションとは別に途中出場というグループが生まれるためです。
意味合いとしては「普段レギュラーの選手が代打などで途中出場した打席を除いた控え扱い選手の打席」このように認識するといいでしょう。
実際に普段レギュラーの選手が途中出場するということは少ないためデータでも全平均とあまり差がない結果となっています。
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