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2015年10月18日 (日)

RE24から見る無死2塁でのバントの損益分岐点

無死1塁に続き、無死2塁のケースを求めます。

RE24から見る無死1塁でのバントの損益分岐点をまだ読んでない方は先にこちらをご覧ください。)

無死2塁でも無死1塁の時と同じように各打者の得点期待値利得、得点確率利得からバントの損益分岐点を求めます。
まずは得点期待値を求める場合から。

無死2塁での得点期待値の計算式(ヒッティング時)

 無死1,2塁RE×四死球率
+無死1,2塁RE×単打率×0.05+無死1,3塁RE×単打率×0.67+(1+無死1塁RE)×単打率×0.28
+(1+無死2塁RE)×二塁打率+(1+無死3塁RE)×三塁打率+(2+無死走者なしRE)×本塁打率
+一死3塁RE×0.24+一死2塁RE×(1-出塁率-0.24)

単打の無死1,2塁(5%)は主に内野安打となったケースです。無死1,3塁(67%)、1点入っての無死1塁(28%)
と無死2塁では単打で3パターンに分かれます。一死3塁の0.24は内野ゴロや外野フライによる進塁打率です。


無死2塁での得点期待値の計算式(バント時)

 一死3塁RE×バント成功率×0.94+無死1,3塁RE×バント成功率×0.06
+一死1塁RE×(1-バント成功率)×0.31+一死2塁RE×(1-バント成功率)×0.69

バント成功のうち6%が無死1,3塁になっていますがこれはバントした結果内野安打となった割合です。
計算式の後半部分はバント失敗時の箇所ですが、無死2塁でのバント失敗は2パターンあるため
一死1塁(31%)と一死2塁(69%)に分かれています。


では実際の選手の成績を入れて計算してみましょう。2014年の上本の打撃成績を使って計算します。

 1.417×(70+6)/593
+1.417×102/593×0.05+1.721×102/593×0.67+1.821×102/593×0.28
+2.04×28/593+2.36×5/593+2.455×7/593
+0.919×0.24+0.687×(1-0.368-0.24) =1.115

無死2塁のバント成功率ですが無死1塁の時も書いたように変数としてまた改めて分析するため
ここでは標準的な打者の平均値であるバント成功率78%を使って計算します。

 0.919×0.78×0.94+1.721×0.78×0.06
+0.499×(1-0.78)×0.31+0.687×(1-0.78)×0.69 =0.893

2014年の上本の得点期待値利得は

 1.115-0.893 =0.222

と求められました。

同様の計算を2014年の打席数100以上の選手170人でも行い、170人分の得点期待値利得を出しておきます。


次にこれらの得点期待値利得が各選手の打率、出塁率、長打率、OPSの4つの打撃指標のうち
どの打撃指標が最も強い相関を示すのかを知るべくそれぞれの相関係数を求めます。結果はこうなりました。

OPS  0.974
出塁率 0.952
打率   0.897
長打率 0.880

やはりOPSが最も強い相関を示しました。
散布図にするとこのようになります。

271
                              (R=相関係数、Rの二乗=決定係数)


この回帰直線と得点期待値利得が0のx軸との交点がバントの損益分岐点となります。
回帰直線の式からy=0の時のxの値を計算すると

 y=0.394x-0.0877 
 x=0.0877÷0.394
 x=0.223

得点期待値を求める場合、無死2塁でのバントの損益分岐点はOPS.223と出ました。


続いて得点確率を求める場合です。

無死2塁での得点確率の計算式(ヒッティング時)

 無死1,2塁RP×四死球率
+無死1,2塁RP×単打率×0.05+無死1,3塁RP×単打率×0.67+1×単打率×0.28
+1×二塁打率+1×三塁打率+1×本塁打率
+一死3塁RP×0.24+一死2塁RP×(1-出塁率-0.24)

28%の単打、二塁打、三塁打、本塁打は得点確率100%なので係数が1となっています。

無死2塁での得点確率の計算式(バント時)

 一死3塁RP×バント成功率×0.94+無死1,3塁RP×バント成功率×0.06
+一死1塁RP×(1-バント成功率)×0.31+一死2塁RP×(1-バント成功率)×0.69

こちらも2014年の上本の打撃成績を入れて計算します。

 0.604×(70+6)/593
+0.604×102/593×0.05+0.831×102/593×0.67+1×102/593×0.28
+1×28/593+1×5/593+1×7/593
+0.629×0.24+0.396×(1-0.368-0.24)  =0.600

バント成功率0.78を入れて計算すると

 0.629×0.78×0.94+0.831×0.78×0.06
+0.26×(1-0.78)×0.31+0.396×(1-0.78)×0.69 =0.578

2014年の上本の得点確率利得は

 0.600-0.578 =0.022

と求められました。


こちらも先ほどと同様2014年の打席数100以上の選手170人分の得点確率利得と4つの打撃指標との相関係数を調べます。
結果はこうなりました。

打率   0.970
OPS  0.926
出塁率 0.911
長打率 0.833

無死2塁では打率が最も強い相関を示しました。
散布図にするとこのようになります。

272
                              (R=相関係数、Rの二乗=決定係数)


この回帰直線と得点確率利得が0のx軸との交点がバントの損益分岐点となります。
回帰直線の式からy=0の時のxの値を計算すると

 y=0.4707x-0.1103 
 x=0.1103÷0.4707
 x=0.234

得点確率を求める場合、無死2塁でのバントの損益分岐点は打率.234と出ました。


まずは得点期待値を求める場合の無死2塁でのバントの損益分岐点はOPS.223と出ましたが
野手ならほぼ全員打たせたほうがいいという数値と言えます。また投手でも2014年の平均OPSは.272で
選手によっては打たせた方がいい場合もありそうです。

得点確率を求める場合の無死2塁でのバントの損益分岐点は打率.234でした。
2014年の野手の平均打率はパリーグ.258、セリーグ.271ですが、このデータを見るまでもなく
打率.234は相当打てない打者と言えます。
得点確率を求める場合の無死2塁でのバントはこの打率以下の選手の時に有効ということです。

無死1塁、無死2塁とバントの損益分岐点を見てきましたが得点確率を求める場合の
最も強い相関を示す打撃指標で無死1塁ではOPS、無死2塁では打率と違いが出ました。
この違いはおそらくこのように考えられるのではないでしょうか。以下僕の推論です。

無死1塁から得点確率を高めるには何より打者がアウトにならず無死1,2塁を作りたい
よって打率と出塁率であれば出塁率が求められる
また同じヒットでも長打なら必ずではないがその一打で目的の1点を取ることができる
よって打率と長打率であれば長打率が求められる
なのでその両方の要素を満たしたOPSが最も強い相関を示したのではないだろうか

一方無死2塁から得点確率を高めるにも打者がアウトにならないことが求められますが
無死1塁と異なり塁が空いているため、単打では無死1,3塁、四死球では無死1,2塁というように
無死1塁では単打とほぼ同等であった四死球の価値も無死2塁では下がることになる
また必ずではないが単打で目的の1点を取ることができるため長打はそれほど求められないとなります。

損益分岐点を探る中で無死1塁ではOPSが、無死2塁では打率が最も強い相関を示す打撃指標となったのも
このような塁状況の変化から説明できるのではないかと考えます。

ちなみにこの考え方を用いると無死1,2塁の時にはどの打撃指標が最も強い相関を示すのかを推測することができます。
僕はもう結果を見て知っているのですが皆さんは何になるか予想してみてください。
次の次の記事で答え合わせとなります。

次回は今回78%で計算した無死2塁バント成功率を変え
バントが上手い打者、バントが下手な打者の場合の無死2塁でのバントの損益分岐点の分析です。

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