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2015年12月 5日 (土)

一死1塁でのバントの損益分岐点 バント成功率による変動

一死1塁でのバントの損益分岐点を求めましたが
バント成功率によってこの損益分岐点がどの程度変動するのかを分析します。

前回、一死1塁でのバントの損益分岐点は
得点期待値を求める場合はOPS.256
得点確率を求める場合はOPS.430
と出ましたが、これはバント成功率82%という標準的な条件下でのものでした。
今回はここの条件を変えバント成功率の高い選手、低い選手での一死1塁でのバントの損益分岐点を求めます。

バントのうまい選手、下手な選手それぞれのバント成功率の設定方法ですが
これまでと同じように、各球団の中で最もバントのうまい選手を1人選び
2013年~2014年の2年間のべ24人の平均値を「バントがうまい選手のバント成功率」に
それ以外の選手の平均を「標準的な野手のバント成功率」に
「バントが下手な選手のバント成功率」は便宜上標準値との差を揃えたものに設定します。

ただ今回の一死1塁でのバントは無死1塁に比べ数自体が圧倒的に少なく、データも集めていないため
無死1塁時のバントデータを使用することにします。こうして以下の3パターンになりました。

無死1塁
バントがうまい選手(Aランク) 90%
バントが標準的選手(Bランク) 82%
バントが下手な選手(Cランク) 74%

これらの3つの数値を前回のバントの計算式のバント成功率のとこに代入します。
(つまりBランクは前回と同じものということになります。)

一死1塁での得点期待値の計算式(バント時)
A 0.321×0.90×0.98+0.905×0.90×0.02+0.214×(1-0.90) =0.321
B 0.321×0.82×0.98+0.905×0.82×0.02+0.214×(1-0.82) =0.311
C 0.321×0.74×0.98+0.905×0.74×0.02+0.214×(1-0.74) =0.302

一死1塁での得点確率の計算式(バント時)
A 0.211×0.90×0.98+0.408×0.90×0.02+0.120×(1-0.90) =0.205
B 0.211×0.82×0.98+0.408×0.82×0.02+0.120×(1-0.82) =0.198
C 0.211×0.74×0.98+0.408×0.74×0.02+0.120×(1-0.74) =0.190

一死1塁でのバント成功率が標準的な選手と比べ、うまい選手・下手な選手は
得点期待値で約0.01点、得点確率で約0.7%増減するということが分かります。

このバント成功率が高い場合、低い場合のバント時のデータを使い、前回と同じように得点期待値利得とOPS
得点確率利得とOPSのグラフを作ります。回帰直線の式はこのようになりました。まずは得点期待値から

OPS×得点期待値利得
A y=0.3927x-0.1106
B y=0.3927x-0.1006 
C y=0.3927x-0.0916

それぞれy=0の時のxの値を求めると

 y=0.3927x-0.1106 
 x=0.1106÷0.3927
 x=0.282

 y=0.3927x-0.1006 
 x=0.1006÷0.3927
 x=0.256(前回出した数値)

 y=0.3927x-0.916
 x=0.0916÷0.3927
 x=0.233

一死1塁のバント成功率90%の打者が
得点期待値を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.282

一死1塁のバント成功率74%の打者が
得点期待値を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.233


次いで得点確率

OPS×得点確率利得
A y=0.1733x-0.0816
B y=0.1733x-0.0746
C y=0.1733x-0.0666

それぞれy=0の時のxの値を求めると

 y=0.1733x-0.0816
 x=0.0816÷0.1733
 x=0.471

 y=0.1733x-0.0746
 x=0.0746÷0.1733
 x=0.430(前回出した数値)

 y=0.1733x-0.0666
 x=0.0666÷0.1733
 x=0.384

一死1塁のバント成功率90%の打者が
得点確率を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.471

一死1塁のバント成功率74%の打者が
得点確率を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.384


バント成功率によって損益分岐点が変動することが分かりましたが、今度は併殺打の多い打者・少ない打者で
バントの損益分岐点がどの程度変動するかを見ていきます。これまで式中の併殺打率は右打者・左打者の平均
10%(2013年~2014年データ)で計算してきましたがこの値を併殺打の多い打者を15%、併殺打の少ない打者を
5%と設定し求めます。

そうして計算した170人分の得点期待値利得×OPS、得点確率利得×OPSをグラフにした時の
回帰直線の式はこうなりました。

得点期待値利得×OPS
 併殺打多  y=0.3927x-0.1113
(併殺打標準 y=0.3927x-0.1006)
 併殺打少  y=0.3927x-0.0899

得点確率利得×OPS
 併殺打多  y=0.1733x-0.0806
(併殺打標準 y=0.1733x-0.0746)
 併殺打少  y=0.1733x-0.0686

それぞれy=0の時のxの値を求めると

併殺打多
 y=0.3927x-0.1113
 x=0.1113÷0.3927
 x=0.283

 y=0.1733x-0.0806
 x=0.0806÷0.1733
 x=0.465

併殺打少
 y=0.3927x-0.0899
 x=0.0899÷0.3927
 x=0.229

 y=0.1733x-0.0686
 x=0.0686÷0.1733
 x=0.396


一死1塁の併殺打率15%の打者が
得点期待値を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.283

一死1塁の併殺打率15%の打者が
得点確率を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.465

一死1塁の併殺打率5%の打者が
得点期待値を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.229

一死1塁の併殺打率5%の打者が
得点確率を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.396


ここまでバント成功率、併殺打率によってバントの損益分岐点がどの程度変動するかを見てきましたが
選手ごとにその選手のバント成功率、併殺打率を当てはめて計算すれば、各選手が一死1塁で打たせるべきか
バントさせるべきかをより正確に求めることができます。最後にこれをまとめます。

各選手のバント成功率、併殺打率は2013年~2014年の2年分のデータを使用、ただし母数の少ない選手は
下記の方法でAランク、Bランク、Cランクを決定しました。

バント成功率(無死1塁)
バント企画 20以上 その選手のバント成功率を使用
バント企画 10~19 Aランク(90%)、Bランク(82%)、Cランク(74%)のうち最も近いものに分類
バント企画 1~9  母数が少ないためBランク ただしバント成功率60%以下はCランク
バント企画 0   おそらく下手であろうということでCランク 主に外国人選手が該当

併殺打率
ヒッティング打席 20以上 その選手の併殺打率を使用(母数を増やすため無死1塁、無死1,2塁の合計データ)
ヒッティング打席 20未満 右打者(R)12% スイッチヒッター(S)10% 左打者(L)8%

このような設定で2014年シーズン打席数100以上の選手170人の一死1塁での得点期待値利得、得点確率利得を計算しました。

321
322
REG・・・run expectancy gain 得点期待値利得の略称
RPG・・・run probability gain 得点確率利得の略称

一死1塁ではOPS.430以下の2選手を除き全員がプラス(ヒッティングさせたほうがいい)となりました。

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