RE-Mから見る一死1塁でのバントの損益分岐点
無死1,2塁に続き、一死1塁のケースを求めます。
(RE-Mから見る無死1塁でのバントの損益分岐点をまだ読んでない方は先にこちらをご覧ください。)
一死1塁でもヒッティング時、バント時の打撃結果からそれぞれの得点期待値、得点確率を求めます。
一死1塁でのヒッティング時の打撃結果は極稀なケースを除いて上記の10通りに分かれます。
赤字の部分は選手によって変わるところですが、ここでは2015年の中日・桂の打撃成績から
求めた数値を例として使っています。
この桂の打撃結果の確率に応じた得点期待値、得点確率の加重平均を計算したところ
得点期待値 0.435 得点確率 0.222 となりました。
続いて一死1塁でバントした場合
一死1塁ではバント時の打撃結果はこの5通り。
このバント成功率81%は一死1塁でのバント機会自体が少ないので
当ブログで調べた2013~2015年の標準的な野手の無死1塁でのバント成功率を流用することとします。
ヒッティング時の時と同じように計算したところ標準的な野手の一死1塁でのバント時の得点期待値、得点確率は
得点期待値 0.324 得点確率 0.203 となりました。
このヒッティング時、バント時の差から得点期待値利得、得点確率利得は 0.111 0.019 となり
桂の場合どちらもヒッティング時のほうが高いという結果となりました。
同様の手法で2015年打席数100以上の選手185人の得点期待値利得、得点確率利得を求め
どの打撃指標と最も相関が強いかを調べます。
一死1塁での得点期待値利得と4つの打撃指標との相関係数はこのようになりました。
OPS 0.994
長打率 0.940
出塁率 0.893
打率 0.809
OPSが最も相関が強いという結果となりました。
これを散布図にするとこのようになります。
この回帰直線と得点期待値利得が0(y=0)、つまりx軸との交点がバントの損益分岐点ということになります。
回帰直線の一次式にy=0を代入するとxの値は
y=0.3908x-0.0999
x=0.0999÷0.3908
x=0.256
得点期待値を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.256と出ました。
得点確率利得でもどの打撃指標と最も相関が強いか調べます。
OPS 0.995
長打率 0.947
出塁率 0.884
打率 0.827
こちらもOPSが最も強い相関を示すという結果となりました。
散布図にするとこのようになります。
回帰直線の一次式にy=0を代入するとxの値は
y=0.1752x-0.0753
x=0.0753÷0.1752
x=0.43
得点確率を求める場合、一死1塁でのバントの損益分岐点はOPS.430と出ました。
今出したバントの損益分岐点はあくまで打力の境界線がどこにあるのかを探るのが目的のため
バント成功率、併殺打率を固定値として計算したものです。そこで今度は各選手ごとのバント成功率、併殺打率を
使って各選手の得点期待値利得、得点確率利得を求めます。
バント成功率、併殺打率は2013年~2015年の3年分のデータを使用するのですが
母数が十分でない選手も多いためそのような選手には以下のランク分けした代替データを使用しています。
バント成功率(無死1塁)
バント企画 20以上 その選手のバント成功率を使用
バント企画 10~19 Aランク(89%)、Bランク(81%)、Cランク(73%)、Dランク(65%)のうち最も近いものに分類
バント企画 1~9 母数が少ないためBランク、Cランクのうち最も近いものに分類 ただしバント成功率50%以下はDランク
バント企画 0 バント経験がほとんどなくおそらく下手であろうということからDランク 主に強打者が該当
併殺打率
ヒッティング打席 20以上 その選手の併殺打率を使用(無死1塁、無死1,2塁の合計データ)
ヒッティング打席 20未満 右打者(R)12% スイッチヒッター(S)10% 左打者(L)8%
このような設定で2015年シーズン打席数100以上の185人の一死1塁での
得点期待値利得(RE-G)、得点確率利得(RP-G)を計算しました。
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