2016年 最も投手に球数を投げさせた打者
相手投手の球数を増やすためには何が必要なのかを考えます。
分業制の確立された現代のプロ野球では先発投手が完投するということもめっきり少なくなり
中4日で100球を目途に降板するMLBほどではないものの、日本でも先発の球数を意識した継投が見られるようになりました。
そのため相手先発投手を少しでも早いイニングで降板させるため球数を投げさせることに価値が生まれ
新たな評価項目になっていると言えます。
では相手投手の球数を増やす打者を評価する際どのようなデータを見ればいいのか
まず始めにP/PAという指標を紹介します。
Pとは投球数、PAは打者の打席数
すなわちP/PAとは1打席あたりの球数ということになり
球数を抑えたい投手にとってはP/PAの高い打者は嫌な打者と言えるでしょう。
2016年のP/PAランキング(対象は規定打席到達の55選手)
P/PAランキングはこのような結果となりましたが
P/PAが1位の選手=最も投手に球数を投げさせた打者となるかというとそういうわけではありません。
何を言ってるんだ?と思われたかもしれませんがここで1つ例を挙げてみます。
1回表 Aチームの攻撃
一番打者が5球目を打ってアウト
二番打者が5球目を打ってアウト
三番打者が5球目を打ってアウト
1回裏 Bチームの攻撃
一番打者が4球目を打ってアウト
二番打者が4球目を打ってアウト
三番打者が4球目を打ってヒット
四番打者が4球目を打ってアウト
P/PAだけで見ればAチームの打者はP/PA 5.00、Bチームの打者はP/PA 4.00となりますが
初回に相手投手に投げさせた球数はAチームは15球、Bチームは16球と
P/PAの少ないBチームのほうが多くなっています。
そうなった理由はBチームの三番打者がヒットを放ったことで
相手投手にその回の対戦打者数を1つ増やしたことにあります。
実はここが重要なポイントで相手投手に球数を多く投げさせるというのは
1打席あたりの球数(P/PA)を増やすことだけではなく、打者がアウトにならないことによって
相手投手の対戦打者数を増やすことも球数を投げさせる要素となるということです。
このことは投手側から見ればより分かりやすいもので、式にすると
1打席あたりの球数×対戦打者数=投球数
ということになります。この対戦打者数が被出塁数によって変動するということです。
打者が相手投手に球数を投げさせるにはP/PAとアウトにならずに出塁すること、この2つの要素が必要ということが分かりましたが
この2つの要素を混ぜ合わせたのがP/Oという指標です。
Pは先ほどと同じく投球数、Oはアウト数
P/Oを言葉にするなら1アウトあたりの球数ということになります。
打者ごとの投球数、アウト数(打席-安打-四死球)から計算することで
P/PAには含まれていなかった出塁すること(対戦打者数を増やすこと)の効果も含まれるため
このP/Oは本当の意味での「投手に球数を投げさせた打者」を見ることのできる指標と言えます。
2016年のP/Oランキング(対象は規定打席到達の55選手)
P/PAと出塁率の右横の数字は55選手中の順位です。
見ての通りこの2つを兼ね備えた選手が高いP/Oを記録しています。
この中で特徴的なのは坂本と中島の2選手でしょうか。
P/PAでは中島が1位、坂本が37位と大きな差をつけていますが
出塁率では坂本が2位、中島が39位となっており
トータルのP/Oでは坂本が8位、中島が20位と
坂本はP/PAの低さを出塁率の高さでカバーすることで中島を上回るP/Oを記録したということが言えます。
ちなみに表中にP/O 27という項目がありますが、これは単純にP/Oを27倍したもので
「もしも一番から九番まで全て○○だったら1試合あたり何球投げさせることになるのか」という
RC27のような架空の数値となります。(P/O 18は6イニングあたりの球数)
実際の試合では走塁死やダブルプレーがあるため、それらを考慮していない数値となりますが
1アウトあたりのP/Oで見るよりは球数のイメージがしやすくなるかと思い付記しました。
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